泊まれる演劇『雨と花束』
旅人 サツキとして参加しました。
『Queen’s Motel』と『Moonlit Night』に続いて、三作目の参加です。
各作品、違いがあって、それぞれ大好きですが、私は今までで一番好きな作品でした。
特に、舞台が同じHOTEL SEE,KYOTOで、同じくVIP参加だった『Queen’s Motel』が比べやすいのですが、
個人的に
○テーマの『雨』と『花』が好き
○キャストの方の役への感情移入が、落ち着いていて自分のペースと合っていると感じられた
この2点が大きかったのかな、と思っています。
贅沢な時間だったなあ。
さて、ということでキャストさんを記載。
丁度パンフレット発売翌日に参加できたのです!やった~!
じっくり眺めながら各キャストさんのSNSまで書き残します。
アジサイ -納葉 https://www.instagram.com/osamu_yo/
川乃雫 現代 -渡邉塊 https://www.youtube.com/watch?v=ZVtFP5QmyYQ
スイレン -水口昴之 https://www.instagram.com/mizuguccinew/
ミヤコワスレ -永森裕人 https://lit.link/yutonagamori
シオン -鳩川七海 https://hatokawa.amebaownd.com/
川乃雫 30年前 -松崎義邦 https://www.instagram.com/4_enhtk/
森純恋 30年前 -夏アンナ https://lit.link/anna1225natsu
森純恋 現代 -木下裕子 https://letre.co.jp/artist/kinoshita/
忘却の魔女×××× -後藤萌咲 https://www.instagram.com/moe_goto0520/
今回もホテルに行く前から、
「花モチーフのアクセサリーどうしようかな~」
とウキウキお買い物しました。
ネイルも、招待状の花の栞とお揃いにしたり、水滴をつけてもらったりして、
にこにこで当日を迎えました。
以下はネタバレありの感想になります。
未だ内容を知りたくないよ、という方はこれ以降は閲覧非推奨です。
雨と花の晩餐会

招待状を持って、雨と花の晩餐会に参加するためにホテルを訪れました。
ホテルに入ると、コンシェルジュのスイレンさんにお部屋までご案内頂き、このホテルの説明を受けます。
このホテルでは花の名前で呼び合う、ということで、
私たちには「サツキ」と「ヤマブキ」という名前が用意されていました。
「5月生まれなのでサツキを下さい…!」と我を出して譲って頂きました。
サツキの花言葉は「幸福」。素敵。
ヤマブキさんの花言葉は「気品」だそうです。素敵。
そしてスイレンさんは「信頼」だと教えてくれました。
「皆さんに信頼していただけるよう、頑張ります」とのこと。
素敵ですね。
一通り説明を終えたスイレンさんから、
「当ホテル、実は『世忘れのホテル』という呼び名があるのです」
「かく言う私も、30年前に旅人としてホテルを訪れたことがございまして」
「何かを忘れに来たことは覚えているのですが、何を忘れたか覚えていなくて…」
とお話がありました。
ヤマブキさんと「ん???」となりつつも、
説明は終わったのでスイレンさんは立ち去っていきました。
あの若さで30年前は旅人として来た…?
よくわかりませんが、まずは晩餐会です。
お腹も空いていますし、ロビーで腹ごしらえしておきましょう。
スイレンさん考案ドリンク「ゆらぐ」とポタージュ、リゾットとキッシュはヤマブキさんと半分こしました。
キッシュが熱々でとっても美味しかったです。
支配人と走馬灯を見せる魔法

続々と人が集まり、22人の旅人たちが揃います。
カンナさんとライラックさん、ナズナさんやシロツメクサさん、スズランさん、ハコベさんとユリさん。
皆さんとお喋りしていたら、ミヤコワスレさんが粛々とした様子で目の前にやってきます。
「これから支配人が、皆さんに一曲披露いたします」
そう話すミヤコワスレさんの目線の先、ロビーの中央にはギターを抱えた男性が佇みます。
彼が演奏したのは「Over the rainbow」。
演奏終わりにヤマブキさんから「『オズの魔法使い』だっけ?」と聞かれましたが、私はよく知らなかったので、はてな顔でした。
演奏を終えた支配人は、私たちに一言、
「懐かしい」
とつぶやきます。
彼曰く、私たちは過去にこのホテルに来ているとのこと。
「私にかけられた呪い(まじない)のせいで、あなた方はこのホテルでの記憶を失くしている」
「私はもうすぐ死を迎えます。その前に、走馬灯を一緒に巡り、私のことを思い出してほしいのです」
と告げられました。
どういうこと?と、この時点ではついて行けてなかった自覚があります。
走馬灯を見に行く?30年前を見に行く?魔法で?
あ、でも30年前に行けば、旅人だったスイレンさんに会えるかも…?
そんなことを考えながら、走馬灯の魔法に参加します。
ぼんやりと薄目を開けながら、
支配人の名前は、『川乃雫』だという言葉を聞いて。
30年前の晩餐会

魔法がかかると、目の前には支配人。
向こうのバーカウンターには、飲み物を嗜む女性。
そして後ろから大きな声で「しずむ~!しずむ~!」といった声で喚く、
・・・ミヤコワスレさん?
これが、30年前のミヤコワスレさん…?!
先ほどまでの粛々とした様子は影も形もありません。
なんて変わりよう…。
支配人が続けて、
「走馬灯の世界には魔女がいます。魔女に本当の名前を名乗ってはいけません。魔女は男の姿でもあり、女の姿でもあります。一緒に来た相手でも魔女の可能性がありますので、決して本当の名前ではなく、花の名前でお呼び下さい」
と話し終えるやいなや、
今度は横から深緑色のジャケットを来た青年が横切っていき、バーカウンターでキッシュを注文します。
それ美味しいですよね。
「彼は30年前の私、川乃雫です。キッシュが大好きで、毎日のように食べていました」
え!!!今と全然雰囲気が違う!
昔はジャケットとか着るタイプだったんだ。
「それでは、皆さん走馬灯の中をこれから40分間、好きに旅してらしてください」
という言葉とともに、自由時間が始まりました。
私はいち早くスイレンさんのところに行きました。
何を忘れたのか、気になって仕方がなかったので。
レジ前にいるスイレンさんに近寄ると、
「ハンカチ、落ちていませんでしたか?」
と尋ねられました。
「黒いモジャモジャが描いてある、白地のハンカチなんですけど、どこかで見ませんでしたか…?」
と聞かれて、見てない見てない、元来た道を辿ってみましょうよ、という感じでスイレンさんのお部屋、211号室に向かいました。
すると扉の前の衝立の陰にハンカチが…!部屋の目の前にあるじゃないですか!なんて言いながら、そのままスイレンさんのお部屋でお喋りします。
スイレン 花言葉「信頼」

スイレンさんのお部屋には、綺麗な白いドレスが飾られていました。
カンナさん、ツユクサさんと三人で、素敵なドレスですね~!なんて話していましたが、スイレンさんは浮かない顔でした。
「このホテルのこと、知ってますかぁ…?」
このホテル、世忘れのホテルって知ってますよ!さっき貴方(30年後)に聞きましたから!
・・・とは流石に言えず、「世忘れホテルのことですか?」とだけ返します。
「そうなんです!」
皆さんは、何か忘れたいことってありますか?忘れることってどう思いますか?なんて聞かれたと思ったら、
「僕、このホテルに、失恋した相手を忘れたくて来たんです…」
とスイレンさんが言い出します。
「しかも、相手は結婚して、子供までいるってわかって」
「高校の部活の先輩で、吹奏楽部で僕がホルンで、先輩はパーカッションをやってて、それがすごくカッコよくて」
「当時告白もしたんですけど、やっぱりダメで」
「それから17年、ずっと思い続けてたんですけど」
「僕今カウンセラーの仕事やってて、学校で生徒のカウンセリングとかもしてるんです」
「そしたら父親として先輩が現れて!」
「生徒だけじゃなくて大人もカウンセリングしてるので、先輩のカウンセリングとかもしたんですけど」
「『なんで告白断っちゃったんだろうな』とか言われて!そんなの期待しちゃうじゃないですか!」
「でも相手には子供もいるし、それこそこういう白いドレス着せた奥さんだっているだろうし」
「もういっそ忘れたい!って思ってたら、後ろから女の人に声をかけられて、『このホテルに行けば忘れられるよ』ってこのハンカチを顔にかけられたんですよ!」
なんて話をしてくれました。
え???スイレンさん17年前高校生で、今33歳なの????え????
17年片思い、しかもお相手が男性という状況、そして30年前といったら1995年…。同性愛への差別偏見も強い時代だなあ…。なんて反芻しつつ、
「ハンカチと同じ香りがする部屋があれば何かわかるかもしれないから、見つけたら教えてね!」
と言われてその場を去ります。
忘れたいなら、協力してあげたいけど、失恋なら時間が解決してくれないかな、なんて思ったりしてました。
アジサイ

カンナさん、ツユクサさんと共に部屋を出ると、奥の209号室の扉が開いてることに気が付きました。
誰かいるかな?と思って入ったら誰もいない…と思いきや、死角に棒立ちで佇むフードの女の子がいました。
誰…?
話しかけると、彼女は部屋の扉を閉め、
「このホテルがどういう場所か知っている?」
と聞かれました。
さっきも聞かれた!と思いつつ、彼女の鬱蒼とした雰囲気に気圧されて「世忘れのホテルって聞きました…」とおどおど答えます。
「忘却の魔女に本当の名前を知られてはいけない」
「魔女は旅が好きで、いろんな世界を見たがっている」
「しかし魔女は気づいた。自分一人では見られる世界に限りがある、と」
「だから人の旅の記憶を盗むんだ」
「ファフロツキーズ現象というのを知っているか」
「空から蛙や闘牛が降ってくる現象のことだ」
「魔女の近くでは花が降ってくることがあるらしい」
「花が降っている部屋には魔女がいるかもしれない」
「見つけたら、教えて」
と話していたかと思います。
彼女の雰囲気に飲み込まれて、大分緊張していました。
でも、フードの少女は悪い人ではなさそうな様子でした。
魔女に記憶を盗られないよう、忠告してくれましたし。
話が終わると、彼女は私たちを外に開放しました。
シオン 花言葉「あなたを忘れない」

行くあてが無くなった私とツユクサさんは、3階のシオンちゃんのお部屋に行きました。
シオンちゃんは「記憶を忘れる方法」を知りたいらしく、「あなたたち知らない?」と聞かれたので、「忘却の魔女に本当の名前を言うと記憶を盗られるらしいよ」とお伝えしました。
「え?じゃあ魔女はどこにいるの?!」
って聞かれて「さあ…?」となりました。
「花びらがある部屋らしい」とかなんとかモゴモゴしながら。
そんな私たちにシオンちゃんは話を振ります。
「記憶をなくしたいけど、記憶を無くすのってどう思う?あなた達は忘れたくない人がいたりする?」
と。
私は目の前にいたので、
「いますよ!お母さんです!」
と答えると、シオンちゃんの顔が少し強張りました。
「サツキは、お母さんと仲がいいんだ?」
「はい!」
「そうなんだ」
「…私は父子家庭でね」
「あ、じゃあシオンちゃんはお父さんのこと忘れたくないんですね」
「…ううん、違うの。お父さんを忘れたいの」
そのようにお話されました。
お父さんとは仲がよかったこと。
大切に育ててもらったけど、お母さんのことを聞いたら、「お前は知らなくてもいい」と言われてしまったこと。
自分の半分を形成するお母さんを否定されて、お父さんとは大喧嘩。家を離れて一人暮らしを始めたこと。
それから、お父さんと碌に会話もしないまま、お父さんが亡くなってしまったこと。
お父さんは過労で死んでしまったから、自分が一人暮らしなんて始めなければ、そばにいれば、もっと早く体の異変に気付いてあげられたかもしれないこと。
そんな話を、シオンちゃんは泣きそうになりながら話してくれました。
だから、お父さんのことを忘れたいんだ、と締めくくって。
そこで、40分が終わる鐘が鳴りました。
暫しの休憩に入ります。
休憩のためにロビーに戻ると、ヤマブキさんから
「シオンちゃんと話したでしょ」と言われました。
なんでわかったんですか、と聞くと、
「そういう顔してるから」とだけ言われました。
顔にすぐ出るタイプみたいです。
休憩中、少し不思議だったのですが、
「サツキさんもう一人いますよ!」
「白い服のサツキさんがいました、ってあなたも白いけど」
「サツキさん二人います?」
なんて言われまして。
ん??となってました。
あと、スズランさんの花言葉が「幸福の再来」だったらしく、
「一回目の幸福、サツキさんじゃないですか!」と言われました。
私は一回目だったのか…!?なんて楽しい休憩時間を過ごしました。
雫と純恋、雫とアジサイ

休憩が終わり、支配人から
「これから、30年前の私が、とある女性と出会います」
「彼は自分の話を聞かれると思うと話しにくくなるので、皆さんはおしゃべりしているふりしてくださいね」
なんて言われながら。
目の前で、和気藹々と雫さんと純恋さんがお話してます。とっても楽しそうに、『オズの魔法使い』をキッカケに意気投合していて。
あ。Over the rainbowってこれか、と思いつつ。
「どうせ君も明日になれば僕のことを忘れてしまう」と雫さん。
「そんなに酔ってないし、あ、これなら忘れないでしょ」と雫さんにキスをする純恋さん。
これが30年前か~と旅人たちはひゅーひゅーします。
ひゅーひゅー。
雫さんがネックレスを手渡して、明日の朝7時に食事をする約束をします。
しかし、純恋さんは徐にネックレスを外してしまいました。
そこで丁度。0時の時報が鳴ります。
「え、あなた、いつからそこに…?」
「このネックレス、落とし物ですか?」
純恋さんは雫さんを忘れていました。
雫さんはネックレスを奪い、去っていきました。
これが、彼が、支配人が見てほしかった走馬灯でした。
しかし、30年前の川乃雫は気づきます。
自分のことを忘れていない人間がいることに。
「君は0時を過ぎて、目の前に僕がいても驚かなかった」
「君は僕のことを覚えているんだろう?」
「覚えているよ」
「私も魔女と契約して同じ呪いにかかっているから」
彼女の名前は、アジサイと言いました。
彼女の話を聞くと、「忘却の魔女の名前を言えば、呪いが解ける」ということがわかります。
それを聞いた川乃雫は、呪いを解くために忘却の魔女の名前を探しに行きました。
アジサイはそんな彼を止めることもなく、その場を離れました。
シオンとアジサイ

魔女の名前を探す、ということで散り散りになる旅人ですが、私はシオンちゃんの部屋に行きました。
忘却の魔女がいるけど、魔女に名前を渡すと自分が忘れられちゃうって伝えないと。
いや、それより。
ツユクサさんと一緒に、シオンちゃんとお話しすることにしました。
「二人とも、魔女のこと、なにかわかった?」
「色々わかったけど、シオンちゃん本当にお父さんのこと忘れる?」
「…うん、そのために来たんだもん」
「私も18年前にお父さんが死んじゃったんだけど、時間が経てば楽になるよ」
「…そうだったんだ。サツキは苦しくなかった?忘れたくならない?」
「すごく苦しかったし、今でも忘れたいことがあるけど、大丈夫になるよ」
「…そっか」
するとツユクサさんが、
「シオンちゃんが悪いと思ってることも、お父さんはきっと許してくれるし、全部忘れちゃうのはやっぱり良くないんじゃないかな」
と言ってくれました。
そんな風に言ってもらえて嬉しかったです。
許してくれてるといいな。
ツユクサさんの意見はもっともなので、
「じゃあ部分的に忘れさせてもらえないかな!」
と言ってしまいました。
嫌な思い出だけ、消してもらえないか、と。
「そっか、そうだよね!」
「魔女にできるか聞いてみよう!」
「あ、魔女はどこにいるかわからないんだった」
「じゃあアジサイさんならわかるかもしれない!」
そう言って、私たちは嬉々としてアジサイのところに行きました。
彼女の部屋に行くと、
「なぜ私の名前が『アジサイ』だと知っている?」
と聞かれました。
また恐る恐る、「雫さんとの会話を聞いていて…」とだけ答えました。
彼女はお前もか、と言った様子で、話し始めます。
「何しに来た」
シオンちゃんが答えます。
「記憶を消してもらいたくて、私の」
「…」
「私の、お父さんの記憶を」
「お前は、こいつらに話を聞いたなら、知っているんだろう。記憶を忘れる契約の代償を」
「翌日になれば、自分のことを皆が忘れるんだ」
「親、友人、恋人、全員から忘れられる」
「たった今友人になったこいつらにも、忘れられるんだ」
「その覚悟があるのか」
「……そのつもりで、ここに来たんだもの」
「…それに、父親の記憶?そんな大切な人の記憶を、無くしたいなんて本当に思っているのか」
「…だ、だから、部分的に、嫌なことだけ、忘れられないかなって…」
「…」
「サツキと、ツユクサと話して、嫌な部分だけ忘れられないかなって、魔女にできるか聞いてみようって…」
「……優しいな」
「お前らに、魔女と契約した人間の話を教えてやる」
「私は、元々病に侵されていた。時が経てば、死を迎える病だ」
「私は死にたくなかった、死を恐れていた」
「そんな時に、魔女に言われたんだ。『時が絶つのを、忘れさせてあげようか』と」
「私は魔女と契約した」
「そして、両親からも、友人からも忘れられた」
「しかし、本当につらかったのは忘れられた私ではない」
「私の両親だ」
「私の記憶は消えても、私の痕跡までは消えない」
「おもちゃや食器、そこで生活していた痕跡は残る」
「私を抱きしめた時の感触も、確かに覚えているんだ」
「お前が忘れられても、その痕跡を忘れられることはない」
「お前が父親を忘れても、父親と過ごした日々の痕跡は忘れられない」
「それを”一部だけ”忘れるだなんて、甘い考えだな」
アジサイはシオンちゃんを見つめます。
シオンちゃんは、「それでも」と、私やツユクサさんを見ました。
アジサイはそんなシオンちゃんを一瞥し、部屋を出て行きました。
私たちも、シオンちゃんと一緒にその場を離れることにしました。
私たちは、魔女を探します。
ミヤコワスレ 花言葉「しばしの憩い」

引き続き、魔女を探すために、3階に行ってみました。
「白い服のサツキさんがいましたよ!」
「もう一人のサツキさんがいました!」
すれ違う方に言われたので、会えるかな?と思って奥の部屋に行ってみたのですが、結局は会えず。
ただ部屋の方から来たお二人、ガーベラさんと誰かだと思うですが、誰とも目を合わせないようにしていたんですよね…。
何故だったのでしょう。
収穫も無かったので、シオンちゃん、ツユクサさんとロビーに向かいました。
すると、そこには軽快に踊るミヤコワスレさん、大きな声で歌うスイレンさん、楽しそうにオルガンを弾く支配人・・・。
アジサイの部屋と様子が違いすぎて、ついていききれないまま演奏を眺めていました。
でも、明るい様子を見てシオンちゃんが少し元気になったみたいで、よかったです。
なんだか明るいな~と思っていたら、
シオンちゃんから「お話しに行こう!」誘われミヤコワスレさんのもとに。
そういえば30年前のミヤコワスレさんとは初めてお話しするな、と思いながら、何を忘れたいのかを伺います。
「俺か?俺はな、仕事のことを忘れてぇんだ」
「仕事が嫌、ってわけじゃない。これでも、名の知れたパタンナーだったんだぜ?毎日締め切りに追われて、大忙しだよ」
「でもよ、」
「線がひけなくなっちまったんだよ」
「まっすぐな線が」
「医者はどこも悪くないって言うしよ」
「カウンセリングも受けてみたんだぜ?そしたら、『一度仕事を忘れてみたらどうですか?』だってよ」
「だから忘れに来たんだよ、仕事のこと」
そんなミヤコワスレさんに、シオンちゃんが話します。
「私は、お父さんのことを忘れに来たの」
「みんなと話して、時間が経てば、すこしは元気になれるかもって思いはしたんだけど…」
私やツユクサさんを見ながら、話すシオンちゃんに、
ミヤコワスレさんは、言いました。
「待てねぇんだよ」
「いつまで待てばいいんだよ」
ミヤコワスレさんの表情は、怒っても、哀しんでもいないように見えました。
ただ、諦めたような顔に見えました。
私はこの日初めて涙がぼろっと零れました。
スイレンさんの失恋や、
シオンちゃんのお父さんのことは、
感じた辛さは決して同じではありませんが、
『私の場合は』という経験を持って、寄り添うことができたと思います。
でも私はミヤコワスレさんのような顔ができるほど、何かに打ち込んだことはありません。
何かに真剣に取り組んで、人に認められたことはありません。
私はミヤコワスレさんの気持ちは全く分からないのです。
自分が経験がないことほど、感情の深さも計り知れず、ただただやるせなかったです。
ミヤコワスレさんの表情は今も忘れられないくらい鮮明に覚えています。
ぼろ泣きしている私に、
「なんて顔してんだよ!一回しか話してねえだろ!」
なんて、ミヤコワスレさんが笑いながら声をかけてくれたとき、旅人たちに、「ロビーに集合するように」とアナウンスが入りました。
忘却の魔女とアジサイ

私たちの前に、白い服を着た女性が現れました。
彼女がこのホテルのオーナー、サツキと呼ばれていた女性。
忘却の魔女でした。
彼女は私たち旅人から、記憶を奪おうとします。
決して名前を言わない私たちに、苛立ちを感じているようにも見えました。
魔女と支配人、旅人たちが対峙する中、アジサイと30年前の川乃雫が現れます。
アジサイは魔女の名前を明かせば呪いが解けることを改めて川乃雫に伝えながら、「気が変わった」と言い放ちます。
そして、
「忘却の魔女の名前は----」
と叫び、アジサイはいなくなりました。
魔女は語ります。
呪いを解いてしまったら、人々の記憶に残ることはできる。
でも、解いてしまった本人は、人の姿ではいられず、雨になる。
呪いを解いた人が居た場所には、花とともに雨が降る。
話し終えた彼女は、川乃雫の記憶を奪い、走馬灯の旅を終わらせました。
「これにて、雨と花の晩餐会は閉幕です。皆様、23時20分には、お部屋に戻って頂くようにお願いします」
オーナーとして、そのように話す忘却の魔女。
私とヤマブキさんは、いち早く部屋に戻ろうと立ち上がった、その時でした。
「皆さん、この後、23時25分になったら、それぞれのお部屋に、コンシェルジュが伺います」
「私たちコンシェルジュから、お願いがあるので、皆さん、協力していただけないでしょうか」
「順番に伺いますので、時間までお部屋でお待ちください」
そのように告げられ、まだ物語は終わってないんだな、と思いつつ部屋に戻りました。
コンシェルジュのお願い

部屋に来たのは、スイレンさんでした。
「お二人に手紙を渡します。それぞれ指示に従って行動してください」
「ただし、今は魔女が見回りをしています。決して見つからないように」
と告げて、スイレンさんは出て行きました。
23時35分になったら、行動開始です。
私は一階のエレベーターで、ライラックさん、シロツメクサさんと合流し、211号室、スイレンさんの部屋に向かい、「あるもの」を探すよう指示されました。
「あるもの」の正体はライラックさんが教えてくれました。
どうやら鈴のようです。
シロツメクサさんが鈴を発見してくれましたが、その間に何度か、部屋の前を魔女が通り、部屋の中を灯りで照らしました。
3人で縮こまって隠れているのが、怖かったけど少し楽しかったです。
鈴を無事ロビーに持っていき、ミヤコワスレさんに渡します。
ミヤコワスレさんは何やら不思議な動きをしますが、どうやら「魔女から姿を隠す魔法」を仕上げているようでした。
鈴がすべてそろったとき、魔法は完成しました。
コンシェルジュの皆さんの力で、忘却の魔女は私たちに気づくことなく、私たちの記憶を消すことなく、この場を去ったのです。
雫と純恋

私たちの前に、支配人が現れました。
彼は私たちに話しながら、明確に一人の女性、スズランさんに語り掛けます。
「森純恋さん」
と。
スズランさんは、30年後の森純恋さんだったのです。
走馬灯で、純恋さんは、雫さんのことを『オズの魔法使い』からとって「おくびょうなライオン」と揶揄していました。
おくびょうな彼は、ようやく覚悟を決めた、と話します。
30年経った今、この世に残るのではなく、彼女の記憶に残ることを決めたのです。
「雨が降るたびに僕のことを思い出してほしい」
そう言い残し、彼は魔女の名前を叫びました。
このシーン、30年前の二人と現代の二人が重なって話す姿がすごく見応えがありました。とても素敵だった。
さて、川乃雫にとって、森純恋は、30年前にたった一度会っただけの女性です。
でも、幼いころから人の記憶に残ることができなかった川乃雫にとって、
一緒にドリンクを飲み、好きな作品で意気投合し、キスをして、プレゼントを渡す、なんて経験が二度とあったでしょうか。
一方で、森純恋はあれから30年。
研究に打ち込みながらも、色々な経験があったはずです。
30年前の、たった一夜のひととき。
そんなものは、呪いが無かったとて、覚えていられるかわかりません。
そんなこと、川乃雫だってわかっていたと思います。
だから「雨が降るたび」なのかな、と思いました。
「忘れないで」ではなくて、「思い出してほしい」なのかな、って。
雨が降ったとき、思い出してもらえれば。
そんな彼だから、コンシェルジュもみんな協力的だったのかな、と思います。
私もこれからは、雨が降るたび、ふと、ギターでも聞こうかな、という気持ちになるかもしれません。ならないかもしれません。
忘却の魔女 ----

さて、物語は閉幕。
バーの再開や、朝食の予約の時間…
ですが、VIPルームの旅人には少し続きがありました。
スイレンさんから「10~15分後、僕についてきてください」と言われます。
ヤマブキさんと、おや!となりつつ、お買い物しながら待ちました。
時間になり、スイレンさんのご案内の元、向かったのは3階。一番奥。オーナーの部屋です。
「オーナーが是非みなさんとお話ししたい、と」
と話しながら、スイレンさんが少し緊張した面持ちで、部屋の扉をノックします。
オーナーが扉を開き、私たちを招き入れ、ソファに座らせます。
「あなた達は、雫が雨になったのを見たのよね。雫は、最後、どんな様子だった…?」
そんなこと聞かれると思っていなくて、咄嗟に
「幸せそうでした!」
と答えました。
ヤマブキさんも、
「大切な人の記憶に残りたいって、言ってました」
と。
そう、と興味があるのかないのかわからない表情で、魔女は私たちに向き直ります。
「悩んでるの。あなたたちの記憶を消そうかどうか」
え。やだ。
折角覚えてるのに!やだ~!!
とは言えない雰囲気で、口をモゴモゴしていたら、
隣のヤマブキさんが、
「できれば、記憶は消さないでほしいですけど」
と言ってくださって。
ウンウン!とうなづきました。
すると魔女は、スイレンさんの方に向き直って、
「最初からこうしていればよかったわ」
「座りなさい」
「貴方の呪いを解いてあげる。記憶も、返すわ」
「私の名前、言ってごらん」
そう言われたスイレンさんは、酷く怯えた表情で、
「忘却の魔女の名前は…-エニシダ!!」
と。
彼は雨になってしまう恐怖で身を縮こまらせました。
しかし、彼はその場に縮こまったまま。
人の姿のまま、そこにいました。
「これで貴方は自由です。このモーテルを離れても構いません」
「私もひさしぶりに、旅にでも出ようかしら」
そういって、私たちを部屋から送り出しました。
部屋から出たスイレンさんは、明るく話します。
「好きな人のこと、思い出したよ」
「どうなるかと思ったけど、結構平気」
「自分が誰かを好きなことは覚えているのに、それが誰だったかずっとわからなかったんだけど。支配人たちを見て、恋をしてた時の感情とか、想いは思い出せるのに、相手のことだけ思い出せないのって、なんだかな、って思ってたんだ」
「だから、思い出せてよかった!」
なんて言いながら、きゃっきゃとお喋りしました。
先にミヤコワスレさんは呪いが解けていたようで、ロビーで他の方と談笑していました。
私とヤマブキさんもフロートを食べて、またしばらくスイレンさんとお喋りしつつ。
そろそろ1時だし、色々お部屋で写真撮ろうか、と
105号室に行ったら、後ろから
「・・・サツキさん!」
と声をかけられて。
「チェックインの時に声かけたかったんだけど」
「お二人は覚えてないから、声かけられなくて・・・!」
と、シオンちゃんが、話かけてくれました。
そうだよね、シオンちゃんも呪い解けたんだもんね!
お父さんのこと、思い出せてよかったね!
思い出したよ~!なんて話しながら、歴30年のベテランコンシェルジュさんに写真撮ってもらっちゃいました。

えへへ。
いいでしょこれ。すごいでしょこれ。嬉しくって、ずっと見ちゃいます。
晩餐会の夜明け

朝になり、昨日の余韻が残ったまま朝ごはんを食べました。
ノートに、いつぞやのヤマブキさんが
「支配人の部屋に行くこと!」
と書いていてくれたので、行ってみると、そこには3人のコンシェルジュから支配人への置手紙がありました。
そして、部屋の中には花が降っていました。
この3人は、きっと、どこにいようと、どれだけ忙しくなろうと、雨が降るたびに思い出すんでしょうね。
楽しかった!!

冒頭にも書きましたが、とても贅沢な時間でした。
泊まれる演劇、抽選というのもあり、部屋を確保するにも一苦労という中で、しっかりと観劇できて、しかもそれがすごく好みだったというのは大変幸せです。
キャストの皆さんも、スタッフの皆さんも、舞台を作り上げている皆さんも、本当にすごいパワーで作ってるんだなあ、としみじみ感じました。本当に楽しかったです。ありがとうございます。
一緒に楽しんでくれたゆーさんありがとうございました!
また次の作品も行けるといいな!
